カテゴリー別アーカイブ: レポートorエッセー

《帝国》が東シナ海へ

カテゴリー: レポートorエッセー
投稿日:

共同通信のニュース(05年7月5日)によりますと、東シナ海のガス田開発をめぐり、帝国石油が申請していた試掘権(試し掘りの権限)を、経済産業省が今月(05年7月)中にも、正式に認める見通しであることが分かりました。

 

よりによって、企業名が、帝国!……とは。

 

中国が、批判しやすい名前ですね。

 

帝国石油からの申請については、九州経済産業局の局長が現在、沖縄、鹿児島両県知事と大詰めの協議を続けている……という情報が流れていましたが、いよいよカードを切るところまできたわけです。

 

日本政府が、試掘権許可……というカードを切ることで、日中関係は新たな局面に入ると言っても過言ではありません。

 

東シナ海のガス田開発は、資源開発だけが争点ではありません。排他的経済水域をめぐる領土問題も大いに絡んできます。

 

中国側は、強く抗議に出るでしょう。

 

記事によりますと、経済産業省は、試掘権を許可する理由を、次のように述べています。

 

「国際的な司法判断では実態が重要。日本が試掘に乗り出す姿勢を示すことに意味がある」。

 

かりに日中の境界線をめぐる対立が国際司法裁判所に持ち込まれた場合、開発の実態が司法の判断を大きく左右する……というわけです。

 

今後、試掘に向けて危惧されているのは、中国による妨害活動です。

 

日本の試掘作業を、海上保安庁や自衛隊が護衛するアイデアもあるようですが、それが逆に、中国を刺激しかねない……という懸念もあるとか。

 

肝心の試掘の時期ですが、それはどうやら、官邸による、高度な政治判断になりそうです。

 

ところで……。

 

東シナ海のガス田は、埋蔵量がインドネシアのガス田に匹敵する可能性もある……という説があります。

 

ちなみに、インドネシアは、日本の天然ガス主要輸入国です。

 

期待通りに開発が実現すれば、日本は《資源小国》から《資源大国》に変身します。

 

近未来の日本の命運を掛けている……ともいえるビッグ・プロジェクトがいま、沖縄の海域で、焦臭さを漂わせながらカウントダウンに入ったのです。

 

えっ?……このガス田を自主財源に《「琉球」独立》を目指すSF小説が、書けそうですって?

 

*写真は、蜜に群がるオオゴマダラ。ロワジールホテル沖縄で撮影。クリックすると拡大します。

 

*05年7月5日の「フレッシュモーニング」の「ニュース・ラウンジ」でも、一部解説しました。



関連記事
    None Found

昆布が豚肉と出会ったのは

カテゴリー: レポートorエッセー
投稿日:

豚肉・昆布……は、《沖縄料理の黄金コンビ》といわれています。

 

豚肉が酸性・高カロリーなのに対し、昆布はアルカリ性でノンカロリー。

 

ですから、「ソーキ汁」「足ティビチ」「煮付け」などの沖縄料理は、栄養バランス、カロリーバランスともに理想的な組み合わせ……と、ある料理研究家は絶賛しています。

 

この《沖縄料理の黄金コンビ》は、ウチナーンチュの発明……とする説があります。

 

理由の概要は下記のとおりです。

 

江戸時代の日本は、四つ足動物を食材に使う食習慣が一般的にありませんでした。

 

しかし、琉球は、冊封使(さっぽうし=中国国王が琉球国王を任命するために派遣する使節)一行を歓待するために、豚肉の食文化が早々と根付いていました。

 

一方、昆布は、薩摩藩の中国向け密貿易品として、ある時期から大量に琉球へ送られるようになりました。

 

那覇市西町の『ラジオ沖縄』本社付近には琉球王国末期に、昆布座(廃藩置県後は「倹徳館」)なる密貿易品倉庫があったほどです。

 

こうして、豚肉と昆布は琉球で劇的に出会い、「ソーキ汁」などの沖縄料理が誕生しました。

 

これが、「ウチナーンチュの発明」説です。

 

ところが……。

 

東京大学名誉教授の新崎盛敏氏が『物語日中昆布史』(1983年)で推察した通り、「ソーキ汁」などの原型(獣肉と昆布の汁料理)は、かなり以前から中国にあったことが最近のフィールドワークで分かってきました。

 

ただし、客をもてなすような料理ではなく、ヨード分不足で脚気に悩む地域の庶民が、医食同源の日常食にしていたのです。

 

その様子を、進貢貿易で中国に出向いた薩摩寄りのウチナーンチュか、あるいはウチナーンチュの風体でマーケッティングに出向いた薩摩人が目撃し、

 

「どうやら、清国人は、昆布をもっと欲しがっているようだ……。よし、抜け荷(密貿易品)の第一候補にしよう」

 

と企み、越中富山の売薬商人に渡りをつけていったようです。

 

昆布は、蝦夷地(北海道)周辺でしか採れません。

 

中国人は、琉球ルートができるまで、自前の大陸ルートと、徳川幕府が仕切っていた長崎の出島ルートで昆布を入手していました。量的には、圧倒的に出島ルートでした。

 

しかし、出島ルートの昆布は、いわゆる《俵物》のひとつで、徳川幕府の匙加減で輸出量などが決まりました。

 

ですから、中国サイドは、建前上は公式貿易である琉球ルート(中身は密貿易品)を大いに歓迎しました。

 

ちなみに、当時の中国人は実は、琉球がすでに日本(薩摩)の支配下にあることを察していました。しかし、徹底して、知らぬふり……の態度で臨んでいました。

 

中国の史料に、琉球の役人が、「昆布の産地はどこかですって?……ええと、昆布はですね、久高島あたりで採れるんですよ」と、冷や汗たっぷりで答えた記録が残っているくらいです。

 

一方、薩摩サイドも、琉球ルートの確立によって、財政破綻寸前の藩財政を立て直し、倒幕に向けてのエネルギーを蓄えるチャンスにつなげました。その中心人物は、調所広郷がまず、挙げられます。

 

さて……。

 

獣肉と昆布の《コンビ》を発明したのは、どうやら中国人のようですが、このコンビを《黄金》にまで磨き上げたのは、ウチナーンチュです。

 

その証拠に、一流の中華料理店で、昆布が登場するメニューを食べたことがある人は、まずいないでしょう。

 

ウチナーンチュは、中国人の食べ方を参考にし、どんどんソフィスティケイトさせ、独自の食文化として定着させました。

 

ひと頃、沖縄県は、豚肉と昆布の消費量全国一!……を誇っていました。

 

ところが、現在、47都道府県の県庁所在市町村で比較した総務省統計局の『家計調査年報』(2004年)によりますと、豚肉の年間消費量は、全国第6位(18,866グラム)に落ちています。全国平均は、16,903グラムです。

 

一方、昆布の年間消費量は、全国第14位(513グラム)にまで転落しています。全国平均は、470グラムでした。

 

いずれも、歯止めがかからず、調査をするたびに凋落傾向が確認できます。

 

スローフード提唱者たちによりますと、「ファースト・フード文化に席巻されている」。

 

沖縄の食文化は、実は危機的な状態にあります。

 

*写真は、那覇市内の牧志公設市場近くにある「あかさたな」のティビチ汁。

 

*「関連リンク」は、総務省統計局の「家計調査年報」。

 

関連リンクはこちら >>> クリック!!



関連記事
    None Found

「中台有事の現実的なシナリオ」

カテゴリー: レポートorエッセー
投稿日:

読売新聞は昨日(05年6月30日付)、次の記事を報じました。

 

 米政府が在日米軍基地協議などで、中国軍の特殊部隊が台湾を急襲する事態を「中台有事の現実的なシナリオ」と説明したうえ、「在沖縄海兵隊の戦闘部隊は中台有事の抑止力として不可欠であり、削減や本土移転は困難だ」と伝えてきたことが29日、明らかになった。

 

 

「ここにきて、なんでいまさら《中台有事》を持ち出すのだろう」……と、苦笑混じりに首を傾げた読者が、けっこういらっしゃったのではないでしょうか。

 

私も苦笑しました。

 

苦笑しましたが、お隣の中国で、危惧してしまう現象がこのところ目につきます。

 

中央各紙のHPから、中国国民……をキイワードに最近のニュースをチェックしてみますと、下記のイメージが浮かび上がってきます。

 

◎選挙権もなく、思想信条の自由もない中国国民が、いつまで我慢できるだろうか。
◎ITの普及により、かつて存在した情報の壁が、中国国民の前から消え始めている。
◎中国は、北京オリンピックに向けて経済成長を続けているが、バブル経済・不良債権処理・貧富の差……という矛盾も同時に膨れあがっている。
◎中国政府が最も恐れるのは、アメリカでも台湾でも日本でもない。不満の臨界点に達しそうな中国国民である。
◎中国政府は、資本主義体制への着地を目指した結果、国民の不満の《はけ口》を、かつてのように〈階級対立〉に持っていけなくなってしまった。
◎江沢民国家主席が「愛国主義教育実施綱要」を人民日報に発表(1994年)して以来、国内問題は、日中問題に反映されるようになった。

 

とくに最後の◎は、先日の《反日運動》の顛末を振り返りますと、頷けるような気がします。

 

中国国民が怒りの拳を掲げ、中国政府も、沖縄風に表現すれば「だっからよ~」と呟いて顔をこちら(日本)に向けたわけで、国内問題のガス抜きに日中問題が使われた観があります。

 

果たして、資本主義経済を指向する〈共産中国〉で、ゴルバチェフのような人物が登場するでしょうか。そのとき、人民解放軍は、人民をどのような形で解放しようとするのでしょう。

 

ところで、台湾と中国は、独立問題などをめぐって緊張関係を続けながらも、軍事要塞・金門島が観光地になり、経済人たちの交流も頻繁になっています。

 

もし、アメリカが本気で「中国軍の特殊部隊が台湾を急襲する事態」を考えているとするならば、中国政府が《台湾奪還》を国民の不満の《はけ口》に使う決定的な青写真をつかんだのかな?……などと勘ぐったりもしました。

 

しかし、ある軍事専門家は、アメリカの低級な駆け引きに驚くことはない……と断言しています。

 

アメリカ側は、沖縄からの海兵隊撤退を日本政府に高く買ってもらうために「撤退できない」と言い出したのだ……と。北朝鮮に甘い中国の対応にイライラしたアメリカが、このアクションで中国を威圧しだした……とも。

 

それにしても、普天間移設問題はこのところ、新しいニュースが報じられるたびに、決着への道のりが見え隠れしてしまいます。



関連記事
    None Found